忍者ブログ
ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
346  341  343  340  342  339  338  337  336  335  334 

午前五時、よく知っている自分の部屋の寝床につく。
夜明けが始まって、カーテンが僅かにうっすらと光を帯びている。
部屋の暗がりに何か有らぬ物を感じる。
僕は思う。白み始めたこのタイミングで?
これを境の危うい夢と知る。
黎明を待つが、右腕が痛み始める。体は動かない。
何故右腕なのかと考える。両手で書くのに。
右手が筆の象徴ながら、左も若干の意味を帯びてくる。
痛みはいつしか無い。
目を覚まして寝床を抜けようと努力はしてみる。
体は動かない。
犬が起こしに来て右手を噛む。
痛みは無い。
噛まれてぐちゃぐちゃしている気がするが
嬉しそうに尻尾を振っているのでさほどの問題は無い。
心の中で犬を叱る。誰かが犬を諫めに来る。
犬は居なくなる。
目を覚まして寝床を抜けようと努力はしている。
黎明が進み、ようやっと目が醒める。
顔を動かすと枕元に置いていたペンライトが転がる。
それを咄嗟にキャッチする素早い動作と、はっきりとクリアな触感。
ああこれが現実だと実感出来る。
ペンライトのスイッチを捻って点灯させようとする。
光りさえあれば完全に目が覚ませる。
しかし一回転させても明るくはならず、発煙筒の様にシューと鳴り出す。
電池が危ないのかと捻りを戻す。
薄闇の中、見ればペンライトを持つ肘から先は両手共に真透明だった。
さほど驚きもせず、未だ夢の中だと認識し直す。
透明なだけで有る。機能的には問題は無い。
目を覚まして寝床を抜けようと努力をする。
無音だと夢と現かが分かり難い。
何とか口を動かそうとし、成功する。
舌打ちと咳をして現実と体の動きを取り戻す。
寝床から少し這い出し、部屋の隅を見上げると、
光る点が2セット、計4つある。
嘲笑っているのか。
這いだしたつもりだったがやはり未だベッドの上で、
そこから同じ場所を見上げると
光る点の代わりにステレオコンポの時計電光表示がある。
ああ、あれだったか。
黎明が進む。布団の中の体に乾いた熱さがある。
目を覚まして寝床を抜けようという努力を少し待った。
視線を真横にやると自分の手首が見える。
いくらかクリアな感覚。
だが手は動かない。唇が薄く開きっぱなしになる。
どうしようかと考える。
僕は暫く横になって黎明が進むのを見ていた。
割と遅い。割と長く青味のあるままだ。
自由の戻ってきた体で、羽布団を緩慢に押し上げる。
身を起こし、一番手近にあった音の鳴る物、PCのスイッチを押す。
ピ、という起動音の後に、ファンの音が部屋を占める。
立ち上がり、青い外へ続くカーテンを引き、窓を開ける。
朝の涼しさの中に猫が一匹居る。
お前か。
数分見合う。
やがて右側が気になったので右を向く。
顔を戻すと猫も同じ方を向いていた。
猫の顔も此方に戻り、また目が会う。
右の民家からかちゃりと玄関を開く音がする。
僕が窓を閉める。
猫が走って逃げる。
午前五時半か。
となりのじいさんならこれくらいに起きる筈だ。
表通りでバイクの音がする。新聞が配られている音だ。
暗がりの中PCへ向かい、これを書き始める。
グラデーションの様に戻ってきた。
こんなにゆるやかに帰還したのは初めてだ。
だから今も部屋に何か居る気がする。
尚、僕は枕元にペンライトを置いてはいないし、既に犬は他界している。
反芻する。
心は折れていなかったか?
大丈夫だった。常に挑んでいたし、常に冷静だった。
昔ほどこの手の夢に揺さぶられなくなった。
書き終えて今、漸く外が白い。

COMMENT
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASS
TRACKBACK
TRACKBACK URL
 
ブログ内検索
 I don't care who you are
 Where you're from
 What you did
 As long as you love me
 Who you are
 Where you're from
 Don't care what you did
 As long as you love me
05 2024/06 07
S M T W T F S
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
アーカイブ
忍者ブログ [PR]
PR
"sakura" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY NINJA TOOLS @ SAMURAI FACTORY INC.