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ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
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 この島に居る幾人かで、概ね穏やかな日を過ごしている。
 海はすぐそこだが、このバレーボールコートは砂浜ではなくしっかりとした地面だ。昔に見た校庭に似ている。
 この島を出たら。そんな話は少しはするかも知れない。
 一人の男を覚えている。白人種で、蜂蜜色の髪が少々はげ上がっている、少し細身で中背の平凡そうな男だ。
 私はそういう島に帰ってきた。何千人もの屈強な男がピンク色に光るオールを与えられ、こんな事を言われていた。
 そのオールを振りかざせば食べ物も、飲み物も好きに出せるだろう。ベッドも娯楽も、好きにしろ。だから働け、仕事が終われば報酬はたんまりくれてやる。ピンクのオールは言ったとおり、何でも出した。そしてそれを使えば彼等の言う仕事(恐らく造船だ)も楽にこなせるのだ。皆が揚々とオールに頼った。狭い足場で大勢が列を成してすれ違うが、ピンクに光るオールは互いを引っ掻ける事も無く擦り抜ける。オールばかりか人と人とも擦り抜けているようにも思える。私も擦り抜けられた。
 やがて得る報酬の為に粗野な声を上げて男達は働いた。
 バレーボールコートに彼を見つけた。
「ありがとう、彼等には内緒にしてくれているんだね」
 私が語りかけると、彼は曖昧に返事をしたが笑っていた。それは私にとってとても好ましい物だった。
 皆が真実を知ってしまったなら暴動が起こっていたろう。彼等も彼ももはや決してこの島を出る事は出来ないのだ。
 私は、騙され搾取される為にオールを与えられた男達の一員ではないし、ずっと此処に残る蜂蜜色の髪の彼の仲間でもないし、私一人だけがこのアイランドでは旅人なのだ。私は白人男性である。
 大勢の男達が仕事を終えるまでは17日と言った所だろう。それまでは、私とこの蜂蜜色の髪の男も共に過ごせる予定に違いない、けれど今言わなければ、もう限りは迫っている、そんな気がする。
「私がもう一度この島に戻ってきた時には!」
 バレーボールネットを張るポールの脇で、私は彼の腕を強く引き、訴えた。
「その時には、私にはもう貴方の姿は見えない!」
 何故なら、私には霊感は無いから。
 貴方の姿が見えるのは、夢を見ている今だけ。
「私は貴方の姿が見えなくても、貴方の為に此処で御飯を作るから」
 その時は側に来て欲しい。その後また旅立つけれど。
 そこで夢は覚めた。
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