ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
我が国の国土は決して広くない。しかし国境検問に二十四時間見張りを置くくらいの備えは普通にある。
隣国からの旅行客が日々ちらほらとやってくる。友好国から来たらしいのだから、国王としてとても誇らしく嬉しい。
偶の、見知らぬ国からの来訪者がある日。その人の辿ってきた線を目で追い、私はそれを逆むけに歩く。
そうしてやってきた初めての土地に立ち、辺りを見渡すとしんとしたポートには沢山の行き先を記した発着案内がある。我が国に通ずる街道を見つけた。立ち並ぶ石碑の一つに名が刻まれていた。
此処が大国か小国かに関わらず、王は一人。私はこの国を治める王という一人に思いを馳せ、頭を下げる。
「有り難う、我が国への道を敷いて下さりまこと恐悦の極みと存じます」
まあどうせ聞こえまい。
さて私にはこうした折り、気になる事があるのだが。どうせ真空だから届かないのだと独り言を続ける。
「所で貴方の郷里では道しるべは如何なる順序で掲げなさるか。アルファベットの順序には当てはまらぬゆえ、気になり申した。私か? 私は順不同という言葉に意味を持たせる術を知らんでな。そこには何らかの順序があるのが道理。残念ながら並び規則は告げられぬが、それは貴方もそうであろう? 故に気になった!」
返事は無い。だがそもそも此処は綺麗な所なのだから、気になる事くらい全く構わない。
COMMENT