ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
パーティ会場は今や地雷原だ。対立する三派のどれにかち合っても私は味方だと認識されるのだから、どのように立ち居振る舞えばよいものやら分からぬ。冷や汗だけ出て、妙案は出ない。
いっそ不在とした方が自分の立場は保たれるだろうか。いや駄目だ。此処でエスコート役を放り出して去ったなら、その時には彼女の父君から死刑宣告を浴びせられかねない。
「ゆきましょう」
左下からの涼やかな声が、どろどろとした私の煩悶を冷水のように引き締めた。左腕に掛かってくる女物の腕の重みが現実を思い出させた。
やれ。やるしかない。私は安物の絵の具チューブからしぼり出したような余裕の色を顔の表面に塗りたくって、そうですねという発音をしてみた。そこそこ様になっているはずだ。
類:懊悩、苦悩。葛藤
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