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ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
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<お題>
「420文字まででバッドエンドの話」
※ルール:地の文に『二人は末永く幸せに暮らしました』 台詞に「もう一度キスしたかった」を入れるものとする。


<提出作品>
二人は末永く幸せに暮らしました、それは何もない宇宙空間で一万回も再生した絵本の結末だ。そんな、過去には無用と判断していた屑データばかりが無聊の慰めで、逆に最重要項目に設定されている自分の位置情報こそが今となっては無意味だった。爆発で艦外に放り出された兵器の回収などコストも見合わない。お伽話の姫と彼の共通点は嘗てキスで目覚めた事くらいだ。慣性が体を無音の彼方に押し流し続け、周囲の僅かな光をセンサーが捉え、そうして漂流軌跡がメモリに上書きされていく。絵本がいま消えた。物語より何度も再生した一番古い記録も今に塗り変わるだろう。「おはよう私が君の開発者だよ」鮮明だった笑顔がもうすぐ座標の羅列に置き換わる。その間際に最後の再生、初めて目を開く前に受けた唇の摂氏。スピーカー通電。「もう一度キスしたかった」浪費音声出力。思い出のない自分にはバッテリーも無くていい。タイムの桁が何度振り切れても末永く一人。


-------------------
<以下、作成時思考順路記録>

作戦を練らねば。
先ず、決めなければならない事柄、想定され得る事柄のまとめ。

●一度はキスしたんだよな?
  →何故
●末永く暮らした二人と、キスした二人は同一人物か? そして時間軸は?
●お題ノルマの、台詞が先か、地の文が先か?
●バッドな理由(感情)はどのような?
(●ギャグかシリアスか?)
(●それらは人間か?)


 以上の事柄をみるに、圧倒的に原動力と成り得るのは一度目のキスである。……と思っていたが、案外着想起点になったのは地の文の方だった。『幸せに暮らしました』部がですます口調なのが自分の作風ではなかった事から、引用文という事にしてまず抜け道を探そうとしたのだ。そうすると、幸せに暮らす事との対比をバッドエンドへ繋げられるとも考えた。
 次に『末永く』というワードに途方もない時間という悲劇を連想した。これも良い構成材料に成り得る。
 書いていくと、眠り姫だか白雪姫だかはキスと童話調の地の文が連携できるなあ、と最初の方にだらだら着想してたのが思いがけず嵌ったので後から入れ込んでみた。

 因みにストーリーの裏話としては、キスの記憶はプロトタイプのデータを引き継いでいるだけで、ホントは本人(?)はキスしてない。
 なんかこの課題、やってみると文章力というよりは大ぎりみたいな感じで、構成力とか発想力のトレーニングだった気がする。まあそれも文章力の一種か。
 後から三名で作品を持ち寄った所、やはりこのお題のネックはですます口調の地の文だったようで、此処を如何に突破するかが最大の問題というか見せ場だったようだ。


(備忘録:「じゃあ次回2000文字くらいでやりますか?」)
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