ココは元S-Silence管理人の日記とかエッセイモドキとかが徒然とごにょごにょしている空間です
『準備はいいかい、行くよ』と言う風に、彼女を支えて飛び始める。
街並みは架空のマンハッタンで、頭上に高いビルは幾らでも有る。
人を一人支えながらでは、道路の車に擦らない程度の高度より上にはなかなか行けない。跳び越えるべき中堅ビルの壁面は幾つも見える。
落ちてしまうかも。恥を掻くかも。そんな想いはすぐに抑え込めた。漕げば上へ行ける、そう出来る。
指折りのビルの高さに差し掛かる頃、彼女を落としてしまったらどうしようと考える。覚醒時の論理思考に近く考え案を出す。彼女にも飛行能力を持たせられないかとも一瞬考えたが、それも都合は良くない。
彼女に鍵を一つ渡す事にする。これは私の隣の空間への鍵である。もしも落下したなら私の側にテレポートして来てくれ。私が飛び続けている限り、君が落下する事も無い。
この町で一番高い建物、高級ホテルの最上階のテラスへ降り立つ。従業員が訝しげにやってくる。お構いなくという気分になる。
此処がどんなに高くても関係無い。私は彼女を抱えて上へ進路を見ながら漕いでいたので、一度も下の景色を見ていない。
見晴らしもしていない。これからまた上へ飛ぶので。
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