気弱な彼が助けに入ってくるというのは慮外なアクシデントだった。
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世が世なら彼のような慮外者は打ち首だったに違いない。
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類義語:意外、存外、不慮、案外。無礼、不躾、不埒。
彼等が傀儡化の可能な人物を擁立したがっているのは承知していた。
SKRはうだつの上がらなさを低減するために日夜無駄な努力を続けています。維持コストとかCO2排出量は特に低減しません。できません。
人々は放胆に振る舞う彼に眉を顰める一方、そこに憧れてもいた。
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あの人は、放胆な文章こそ道を切り開くとして意思疎通に最低限必要な文法さえも蔑ろにした。
(続、古今東西:“怒る”20連打)
ブチ切れる
はらわたが煮えくり返る
ムッとする
口を尖らせる
頬を膨らます
鶏冠に来る
腹に据えかねる
怒声を発する
怒鳴る
血管が切れそう
目が血走る
殺意が芽生える
目の前が赤くなる
奥歯を噛み締める
鼻の頭に皺を寄せる
噛み付かんばかりに
許さない
憤る
拳が震える
堪忍袋の緒が切れる
生まれた時から知っている隣の子、というそれ以上に可愛がってきたつもりだった。
その子が入学したりだとか、誕生日になったりだとか。又、正月が来たりだとか。そういう折節の祝いにはいつも景気よく振る舞ってきた。しかし、実際のところはその親が恐縮するばかりで、当人には特別な感慨も、関係すらもあまりない行事のようだった。
今もその子は、両親が玄関先で私と頭を下げ合っている側を、会釈だけして階段を上っていった。確かにこれでは、誰とのお付き合いなんだか分かったものではない。
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笑う。欠伸をする。そういう口を開ける折節に顎が痛む。
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酷く気疲れした折節は、遠くに出かけてみたいとも思う。
類:おりおり。場合場合。季節。ときどき。その時。
暗殺する
虐殺する
絞殺する
刺殺する
誅殺する
銃殺する
惨殺する
息の根を止める
とどめを刺す
消す
抹殺する
討つ
命を奪う
殺人を犯す
括り殺す
毒殺する
命を摘み取る
仕留める
塵に還す
首を挙げる
……正味の所、“死ぬ”と合わせて40連打とは言えまいかコレ。
命を落とす
絶命する
亡くなる
死亡する
身罷る
死去する
崩御あらせられる
息絶える
断末魔の叫びを上げる
討ち死にする
手に掛かる
一生を終える
冥土へ旅立つ
仏になる
天国へ行く
墓が建つ
銅像になる
遺言を遺す
骨を拾う
殉職する
着弾の音がすぐ側、十メートルも離れない地面を鈍く抉るのが、短い地響きとなって肌に伝わってくる。次の弾が此処に落ちないかどうかなど分からない。だが行く道も引く道も、突破は難しいだろう。不可能と言う言葉は敢えて飲んだ。
何もかもが細い糸で持ちこたえている。
いつまでこうして粘って耐えれば良いというのか、誰かを問いつめたくて堪らなくなる。
助けを待つ。必ず突破してきてくれる。信じている。
つい先程そう公言したにも関わらず、彼は胸を掻く焦慮に蝕まれ始めていた。
本当に救助隊は来ているのか。もしやこの地へ辿り着くことなく既に息絶えているのではないか。
読めない戦況に業を煮やし、突撃したくなる衝動を、グローブの掌にある革と共にギシギシと握り潰す。
堪えろ。まだ自暴するような場面じゃあない。
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チケットに書かれた発車時刻はもう間もなくだ。後二分で、来るのか、来ないのか。焦慮する彼の気持ちに比例して膝の貧乏揺すりが速くなる。
勝てば官軍と申します。敗残兵の世迷い言にどなたか耳を傾けて下さるとでも?